私が生きてこなかった人生

ためらわず踏み出してゆくわ

生きる

日付が変わっちゃいましたが今日、ミュージカル「生きる」初日を観劇してきましたー!もうもうもうね言葉が選べない。無理。でも鉄は熱いうちに打たねばならんので書きます。

 

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鹿賀丈史さん、今まで大河ぐらいしか観たことなかったんです。役者として日本に生きてくださっていることに心底感謝した。素晴らしいなんてもんじゃない。

主人公渡辺は定年間近の市役所職員。真面目なことが取り柄だけれどどこにでも居そうな人。それを淡々と演じてる鹿賀さん。

最初は真面目で固い人なんだなあという印象だったけれど、事実上の余命宣告をされてからがすごかった。オーラは皆無だし、老いぼれてる感じ、生気のなさがもうありのまますぎて、もはやたまたま舞台に存在しちゃっただけ。普段、電車で疲れているおじさんを見るとどうしても居た堪れないというか、心が痛くなってしまうあの感覚が思い出された。

 

彼がそこから人生を全うしようともがくストーリーなのでお涙頂戴にもなりそうですが全然湿っぽくなくて。でも胸の奥にはジンジンくる。ものすごい繊細なバランスだと思いました。

いつもの革命だとか戦争だとか運命の人に出会っちゃうとかのドラマチックな話でもなく、飛び抜けた豪華絢爛な演出なわけでもなく、歌いまくったり踊りまくったりするわけでもなく、ただ日常が淡々と進んでいくのになんでこんなに感動しちゃったんだ。

普段は宝塚に限らずキラキラだとか可愛いお衣装、美しいお衣装大大大好きなんですけどね。茶色とグレーな背広と普段着なお着物でもグッとくる何か今までにないものを感じました。なんだろう…本当にこんな作品観たことなかった。

 

生きることに懸命になってからの渡辺さんがそれはそれは素敵だった。いくつになっても生き様が美しい人は眩しいのか。新納さんの小説家もデカダンスな格好が出てくるたびかっこよすぎるし、ふうかちゃんのとよの快活さが気持ちよくて。

曲もとっても良かった。歌詞も大好きな高橋知伽江さんでした。客席でもお見かけしたのですが、カーテンコールで亜門さんたちとご挨拶もされていた。ファンなので初めて本物に出会えて嬉しかったー!!

 

これ書きながら何度思い出しても鹿賀さん素晴らしかったな。もう一回観るとしても今回に限っては鹿賀さんが良い。鹿賀さんの渡辺さんが深まるところを見たいと思っちゃう。観たヅカオタはああ〜って絶対なりますけど、本当になんかもう “サヨナラ公演” だから!

歳を得たからこその静の役がむちゃくちゃ素晴らしかったので、今までの鹿賀さんのジーザス、バルジャン、ジャベ、ジキル、ハイドたちを観てきた方がひたすら羨ましい。くっそー羨ましいぞー!

舞台となってるのが日本なのはもちろん時代もお衣装もセットも日本的な作品、日本人のステレオタイプみたいな主人公なので、海外公演とかやりそう。やってほしいな。黒澤映画だから知名度も評判もあるでしょうし!

 

森光子さんにとっての放浪記のように、ずっとずっと鹿賀さんにやり続けて欲しいです。日本人にとってのレミゼみたいな心の拠り所にならないかな。なんて。

 

おわり