私が生きてこなかった人生

ためらわず踏み出してゆくわ

海外の枕はなぜ二つなんだろう

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年初めての更新ですが2月もスタートし、新星星組も初日が開けました!ことちゃん本当におめでとう!

 

私はといいますと、ただいま、卒業旅行と称してロンドンに来ています。

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これは昨日見たストーンヘンジ

帰国したら初ウエストエンドの感想をまとめたいので、それまでに年末間に合わなかった2019年の観劇を振り返ります。レッツゴー!

 

1月

月組「ON THE TOWN」@東京国際フォーラム ホールC

・「ラブ・ネバー・ダイ」@日生劇場


2月

雪組「ファントム」@東京宝塚劇場

星組「霧深きエルベのほとり/ESTRELLAS」@東京宝塚劇場

・「北翔海莉ディナーショー」@東京會舘


3月

星組「霧深きエルベのほとり/ESTRELLAS」@東京宝塚劇場

雪組「20世紀号に乗って」@シアターオーブ


4月

・「ふたり阿国」@明治座

・「キンキー・ブーツ」@シアターオーブ


5月

・「THE BROADWAY MUSICAL CONCERT」@シアターオーブ

・「レ・ミゼラブル」@帝国劇場

星組鎌足−夢のまほろば、大和(やまと)し美(うるわ)し−」@青年館

月組夢現無双/クルンテープ 天使の都」@東京宝塚劇場


6月

花組花より男子」@ACTシアター

宙組オーシャンズ11」@東京宝塚劇場

・「CLUB SEVEN ZERO Ⅱ」@シアタークリエ

・「エリザベート」@帝国劇場


7月

・「蝶々夫人」@新国立劇場

宙組オーシャンズ11」@東京宝塚劇場


8月

月組「ON THE TOWN(役替わりB)」@梅田芸術劇場

星組「GOD OF STARS-食聖-/Éclair Brillant」@宝塚大劇場

月組「ON THE TOWN(役替わりA)」@梅田芸術劇場

雪組壬生義士伝/Music Revolution!」@東京宝塚劇場

・「明治座 Summer Night's Dream」@明治座


9月

星組「GOD OF STARS-食聖-/Éclair Brillant」@東京宝塚劇場

宙組「追憶のバルセロナ/NICE GUY!!」@オーバードホール

 


10月

星組「GOD OF STARS-食聖-/Éclair Brillant」@東京宝塚劇場

・「ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート」@シアターオーブ

・「組曲虐殺」@銀河劇場

 


11月

花組「A Fairy Tale/シャルム!」@東京宝塚劇場

・「海の上のピアニスト」@天空劇

宙組「El Japón-イスパニアのサムライ-/アクアヴィーテ!!」@宝塚大劇場

 


12月

・「ノートルダムの鐘」@京都劇場

星組「龍の宮物語」@宝塚バウホール

月組「I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-」@東京宝塚劇場

・「タージマハルの衛兵」@新国立劇場

・「ウエスト・サイド・ストーリー season1」@ステージアラウンド

 

ここにお知り合いの出演されていた舞台、2作を足して全部で44公演を観ました!

 

特に面白くお気に入りになったのは、雪組ファントム、花組花男、C7、宙組オーシャンズ月組OTT(フィナーレの変更を含めると梅芸版)、明治座SND、星組食聖/エクレア、ジーザスコン、組曲虐殺、星組龍の宮、タージマハルでしょうか。めっちゃいっぱいになった。笑

 

宝塚の作品だけ見ても、全組お気に入りの公演が出てきたので本当に良い一年だったのだと思います。中でも星組は本当に本当に本当に良作に恵まれていました。ありがたいよー。究極を言えば大好きな方々が舞台に立ってくれているだけでも幸せなのに、作品自体も面白いと相乗効果もあってとんでもない衝撃を残してくれますよね。嬉しいことです。

 

そして、先日発表された読売演劇大賞。神野三鈴さまの主演女優賞受賞!!!!本当におめでとうございます!!受賞作を観ていたというのがおそらく初めてで、あの素晴らしかった組曲虐殺のなかでも一際輝かれていた神野さんが…!!!という思いです。発表を見てめっちゃ興奮した。本当に素晴らしいふじ子さんだったんだよーーー。

 

(来年は…と振り返りたかったところですが笑)今年2020年はお仕事と観劇の両立をいよいよ頑張らねば!!というところ。一昨年はニューヨーク、今年はロンドンときているので、できれば隙を見て韓国にも行きたいです。最愛のトゥイことホングァンホ様を拝みたい。あと、英語と韓国語にもちゃんと手を出したいかなと思っています。韓国はここ1年ぐらいに映画館で観た神共、工作、パラサイトが全部めちゃくちゃ面白くてますます関心が深まっている…。喋れたらもっと気軽に遠征して観に行けるのでね。笑

 

ちなみにパラサイトはこちらでも相当の市民権を得ているようで、街中にも広告がいっぱいです。さすがオスカーノミニーは違うんだなあ。来週の受賞式も期待ですね。

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帰国したら上の観劇リストのリンクも編集しますので、気になった舞台があれば各記事に飛んでもらえると嬉しいです。では、引き続きロンドン楽しみまーす!

 

おわり

 

In to the Anknown

当ブログをご覧いただいている皆さま、今年も一年、どうもありがとうございました!


私の2019年を一言で表すならば「未知との遭遇」。初めてだなぁとドキドキしながら手探りで進めていく体験がいつも以上に盛り沢山でした。

 

まずは二大巨頭の一つ目、就職活動。

fumi7july.hatenablog.com

 

上の記事に書いた以外だと、人を頼れるようになったことが大きかったです。今までは正しく自分で考えて、自分で決めるタイプだったけれど、キャパオーバーのときには誰かに相談するとか、頼るとかとても大事ですね。そういう風にしても大丈夫だよと、信頼させてくれた方々には本当に感謝。

 

二大巨頭の二つ目、卒業論文でも先生や友人に助けを求める機会は多かったです。自分じゃどうにもならないことや、誰かと一緒に頑張ったほうがいいことって多い。大学受験ぶりにひしひしと感じました。

論文自体は、3万字もの文章を最初から最後まで筋の通った物語にすることが本当に難しかった。日々当日券に並びながらも少しずつ進め、内容も大好きなミュージカルについてだったので愛着も一入です。その分、絶対に面白いという自信もあるので、そのうち簡単にブログにもまとめる!

 

趣味の舞台観劇では、歌のほぼ出てこない、いわゆるストレートプレイに出会いました。

fumi7july.hatenablog.com

 

fumi7july.hatenablog.com

 

組曲虐殺もタージマハルの衛兵も、いつものミュージカルや宝塚とは違う、引き算の美、静のお芝居。より本質的なところでお芝居の面白さが分かった気がします。“観て、感じて、考える”の流れがシンプルな作品たち。とても面白かったので、来年からも積極的に追っていきたいです。

 

そして、そのタージマハルを観るきっかけになった成河さんと、もうお一人、今年の新たなご贔屓、ずんちゃん(桜木みなとさん)。

fumi7july.hatenablog.com

 

成河さんに演劇の世界を広げてもらったように、ずんちゃんには今まで殆ど観てこなかった宙組にどハマりさせてもらい、初めての全国ツアーにも富山まで行きました。

 

もちろん安定のみちふう、みほちゃんも新しい世界や作品に出会わせてくれて、ワンワン泣くほど嬉しかった思い出。 

fumi7july.hatenablog.com

 

そんな新しいご贔屓方にも、今まで通り大好きなご贔屓方にも、一緒楽しんでくれた友人たちにも、支えてくれた方々にも大大大感謝です!!!!おかげさまで、沢山のまだ知らなかったことを乗り越え、楽しめました!!

 

とは言いましても、もうすぐ史上最大の未知、社会人生活が始まります。

今年は吸収する、そして考える一年でもあったので、2020年はそれらをどう還元していくか、していきたいのか、より内から外へ放出する年にすることが目標です!

 

さてさて、年内最後の今日も私は未知の絶叫マシーンとの遭遇、真っ最中です。めっちゃ楽しーい。笑

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皆さまも良いお年をお迎えください♡

 

おわり

 

「俺たちみたいな人間」でも考えたい タージマハルの衛兵

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舞台の上での何かが客席にいる自分に侵入して、新しい何かを提起することはとても演劇的で意義のあることの一つだなと思う。『1789』を観れば自分が当たり前に持つ権利のことを、『パレード』を観れば異物的な存在を排除することを目の当たりにし、考えた。ただし、これは歴史上の事実の追体験とイコールでもあったわけである。

ところが、『タージマハルの衛兵』は戯曲の力も演出の力も俳優の力も全てを使い尽くしてフィクションの壁を超えて迫ってきた。

「大事なのは考えちゃいけないってことだ!!」

フマの台詞が発された瞬間、私の頭から爪先まで一気に電流が走った。演劇によって連れ込まれた世界から演劇によって覚醒し、自分自身に戻る。こんなことは初めてだった。体感するのに作り物だろうが、史実だろうが関係ない。そこあるのは私たち人間の話だ。

演劇が持つ意義のなかでも“体感”をより濃密に強く打ち出せるのが台詞劇であり、小劇場であると思った。大掛かりなミュージカルとは全く違った魅力。

いや〜本当に刺激的な体験でした。また明日も観るので頭を使い切りたい。

卒論だけはデジタルで本当に良かった

エッセイが好きである。

最近のお気に入りは、“弘中ちゃん”こと、テレビ朝日アナウンサーの弘中綾香さんの連載。まるでアンパンマンが自分を一口分ちぎって分けてくれるかのように、弘中ちゃん自身の言葉で日常や思いをちょこっと見せてくれる。書き手が自分を切り売りした言葉はフィクションとは違った新鮮な面白さがあって、エッセイを通して誰かの日常にお邪魔させてもらうことが楽しくて仕方がない。

 

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https://hanako.tokyo/column/88632/

 

日々そういったエッセイを見つけてはブックマークし続けているのだけれど、ある日、そのうちの一つを読み返そうとしたら接続できなかった。現れたのは悪夢の404 Not Foundである。 またある時、Twitterで元気をもらい続けていた人の呟きを読み返そうとしたら、いつのまにか総ツイート数が0になっていた。アカウントは消えていない。けれど明らかにツイ消しだった。なんと勿体無い……と思いつつケータイを置き、去年の今頃に使っていたノートを探す。あった。染みた言葉をひたすら純喫茶でメモする過去の私、ありがとう。バックアップは何においても忘れてはならない。

夏にあった参院選に向けて政治家の発言をまとめた記事を書いていた方も、ソース元のネットニュースが消える可能性を考慮して、わざわざ手間暇を掛けて新聞や書籍から引用したと仰っていたのを思い出す。

 

ページがなくなればアクセス出来ない。ツイートが消えれば遡れない。ミュージャンが逮捕されれば音楽はダウンロードできない。電子書籍が改変されれば元のバージョンは読めない。インターネットが大好きだし、すっかりデータとして存在するものばかりに頼った生活を送っているけれど、やっぱりいつどんな時も手元に実体があるアナログは強い。

電子書籍も便利で、保存に場所は取らないし、手軽であることに越したことはなくとも、本そのものをポンと友人に貸せるメリットだって計り知れない。やたらとそこかしこに布教しがちなオタクなら尚更そうだと思う。美容院で雑誌を読む時は、タブレット上のdマガジンのほうがずっと好きなのに。両方どっちもなんて欲張りすぎなのかもしれないけれど、大好きな弘中ちゃんのエッセイは本棚に置いておきたい一冊になってくれると信じたいなあ。

 

P.S.

弘中ちゃんと同じぐらい好きなひらりささんのnote。月500円でこんなに面白い文章(しかも量がすごい)を読ませてもらえるのはなんともありがたいことです。こういう連載もインターネットだからこそとは思いつつ、同じく本になったら大事に手元に置いておきたい。 

note.com

武道館に立ったあとも、私たちは生きていくから

3月に始まった長い長い就活が終わった。

意外に終わってみるとやって良かったと思えることばかりで、粘った分だけの得るものがあってちゃんとあって良かった。ホッとした。

 

例えば、自分に対しての解像度がずっと上がったこと。こだわりや人より突出している部分に気づけたこと。その理由にも目を向けられたこと。逆に凹んでる部分も見つけたし、そこを埋めてくれる人には以前よりさらに感謝するようになった。

それこそ自己分析をしてみたら、小さい頃はコンプレックスだらけで、身の回りの環境も心底嫌で、反骨心を頼りに生きていたようなところすらあり…でも負のパワーもあったからこそ突き進めたし、誰かとは違う長所や短所が知らぬ間にできあがって、色んなものに影響を受けつつ私自身になった。今ならそういう自分のバックグラウンドごと全部肯定できるし愛せるなと思ったのです。嫌いなところもあるけれど、まだまだなところばかりだけれど、たぶんいつかは正解にできるぞ、と。

 

そして、夢が叶ったことが自体が素直に嬉しい。

長期的な目標に粘り勝ちできたのも、思い出せるなかでは初めてのこと。同時に、やっとその場所に立ってみても、まだ土俵に上がらせてもらうだけなんだなと思った。聞いてはいたけど、夢が叶っただけでは具体的に自分の周りは何も変わっていないし、そこで終わりじゃないんですよね。本当にこれから、ここから。

なんだか達者な口ぶりですが、1週間前にやっと終わって、今さっき振り返って実感したことばかりです。まだ見えていないこともたくさんあるはず。でも、これからも全部自分で選んで、それを正解にしていく。腹はとっくに括ってます。こちとら、誰の背中を見てると思ってんだ!みちふう育ち舐めんなよ!

 

私はきっと人一倍わがままで頑固だけれど、その分素直に好きなものや大切な人のためになら一生懸命になれる。

そういう自分でも好きなところは特に愛してあげたいです。

 

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雌猫さんの新刊イベントでいただいたサイン。ご利益ありがとうございました!

 

さて、今夜からは卒論も一旦置いておき、関西遠征に行きます!

母にも「多少ムリしてでも遊んだ方がいいよ」と言いつけられてるので。笑 残りの学生生活もめちゃくちゃ楽しむぞ〜♡

 

 

 

 P.S.

「正しい選択はないから、自分のした選択を正しかったものにする」

高3の春に出会ったこの小説が、今までどれほど救われたかわからないくらい心の糧になってます。朝井リョウさんありがとう。『武道館』ドルオタとしても胸が苦しくなるけれど、大好きな一冊です。  

武道館 (文春文庫)

武道館 (文春文庫)

 

 

トップコンビのその先に 明治座 Summer Night's Dream

2016年11月20日

大好きな人が宝塚を退団した。世界中の誰よりも幸運なことにチケットを持ち劇場に向かって、涙でボヤボヤになりながらも必死に目を開きペンライトを振った。真っ直ぐに舞台の中心へ向かう光。間違いなく劇場中が同じ気持ちだった。

これ以上のものは今日を限りに生まれなくなるんだ。そのことへの寂しさと、たった今向き合えている嬉しさが、ぐるぐるぐるぐる頭のなかを巡っていく。

 


はずだったのに。

 

 

 

 


2019年8月28日。

みちふうと呼ばれた二人は、見事なまでにトップコンビの枠を壊してくれた。

 

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初めて宝塚を観た時からときめき続けてきたみちふう。みちこさん(北翔海莉さん)とふうちゃん(妃海風さん)の軌跡を追い続けること早4年。そのうち主演男役とトップ娘役としてのお二人を観たのはたった1年しかない。それでも短くも幸せな期間の思い出と、退団してからも仲睦まじい写真が更新されるふうちゃんのインスタと、久しぶりに共演された際の甘酸っぱさでいっぱいになるような並びを胸に生きてきた。みちふうの姿が更新されるたびに、あの11月20日と重ねてときめいていたわけである。

 


当然、明治座 Summer Night's Dreamでの共演が発表されたときにも、それを楽しみにチケットを取った。

 


さすがクラブセブンの玉野先生!とだけでは言い尽くせないレベルの選曲と演出。めちゃくちゃ面白いし、めちゃくちゃカッコいい。2曲目のOn My Ownをみちこさんが歌う時点で今までのコンサートやショーの常識が通じないことを悟りつつ、あまりの色鮮やかな歌唱に号泣した。その後もサカケンさんの母音法アッコさん(アドリブ)や妃海・松田聖子・風さんによるレコード大賞受賞バージョンの赤いスイートピー(アドリブ)に激しく腹筋を捩られ、迎えた2幕。時は来たのである。

 


共にドレスで登場したみちふうが歌ったのは、Let It Goだった。

 


「だってもう自由よ なんでもできる」

 


そう力強く歌ったふうちゃんに、満開の向日葵のような笑みを向けたみちこさんが未だに忘れられない。間違いなく“元タカラヅカのトップコンビ”という呪縛を解き、それぞれが独立した女優として自由を手にした瞬間だった。

 


いや、縛られていたのは私のほうで、お二人はとっくに自由になっていたんだと思う。

 

「ありのままの姿 見せるのよ」

 

「ありのままの自分になるの」

 

この上なく素晴らしいハーモニーを聴きながら、ずっとずっと覚えていようと思った。

 


トップコンビみちふうはハッピーエンドを迎えて終わった。

でも、みちこさんとふうちゃんの歴史はそれぞれ続いて、時折交わる。

 


それだけで心がホカホカに温まって幸せなのである。

 


大好きなみちふうがこれから観せてくれるのはきっとどこか懐かしくも、まだ知らない景色だから。

 

 

P.S.

昨日のラブリーみちふうちゃんです♡

https://www.instagram.com/p/B4zqZgMFQ-v/?igshid=sb3lzpndp13a

組曲虐殺

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朝、ご飯の後にみかんを食べようとして、甘くなるように揉んでいたところ急に思い出された。

「みかんどっちから剥きますか」
「私はお尻から」
「私は頭からです」

なんだっけこれ…?と思い出せば、先週末に観た「組曲虐殺」の二幕のセリフ。小林多喜二が母のためにちょっと良いみかんを買って、おまけにもらった分を仲間に分けた場面だった。

母のためにみかんを買う。美味しそうだなとわくわくしながら食べようとする。そんな何気ない場面なのに、この作品では一番好きな場面だった。
フルーツパーラーに集まった多喜二とその姉、元恋人、妻、彼を追う2人の警官はそれぞれ暗い原体験を抱えている。だから分かり合える。それぞれの過去を認められる。けれど、そんな憩いの時間もつかの間、多喜二は殺されたのだ。その思想が危険だと見做されたから。警察権力によって拷問をもって排斥された。

“赤”と呼ばれる彼らのことは、私自身よく分からない。当時一市民として生きていたら、どういう目を向けていたのかなんとも言えないところがある。

だだし「理解できる/できない」を抜きにして、多喜二は一人の人間だった。心の映写機を大切に、大切にしている青年。多喜二を演じる芳雄さんの講演で朗読を聴き、今回観劇するきっかけとなったセリフも、初めて聞くかのように新鮮に瑞々しく体に染み込んできた。
多喜二の希望に焦点を当てた温かいお話なのに、やっぱり引っかかる。どうしても付き纏う。分からないから、怖いから、危ないから。そんな理由で多喜二は命まで奪われたんだろうか。

と、悶々とし続けたところに、先日のヘロデ大王で完全にやられてしまった成河さんのブログが更新された。「暴力の歴史」という演劇のご覧になった際の感想である。

自分の生理を、「正直な自分」「本当の自分」みたいな言葉に託して、ただ無反省にそれを美しいと思うのはとても危険なことだ。「だって嫌なんだもん」「だって気持ち悪いんだもん」「ワタシはワタシだもん」というある種の幼さが今、世界中を覆っていて、それが排他主義に繋がっている。

 

暴力の歴史 | web dorama de songha

 


そして、5月に観た映画「おとなの恋の測り方」にもこんなセリフがあって思わずメモしていた。

私たちは先入観を植え付けられて
違いのある人を受け入れられなくなってしまう
「皆同じ」がいいと
これじゃ私たちもナチスと変わらない

 

 

全部違う作品で違うテーマなのに、警鐘を鳴らす一番の核となる部分はたぶん同じなんじゃないかな、と思う。


恋人に香水の香りを覚えさせるとか、花の名前を教えるじゃないけれど、日常生活の節々で観た記憶や聴いた記憶が思い出される場面が多々ある。楽しい音楽も苦いセリフも何かを喚起してくる。そういう追体験が好きだし、お芝居を観ることがやめられない理由の一つだと思う。

次にみかんを剥こうとするときもきっと、多喜二のことを思い出す。そして考える。

みかんどっちから剥きますか。