私が生きてこなかった人生

ためらわず踏み出してゆくわ

上り坂、下り坂、まさかーー彩海せらさんの巣立ちに際して

明けましておめでとうございます。

本当は去年の観劇記録をアップするために準備をしていたのですが、それよりも何よりも書かなければいけないことができてしまいました。

人生には3つの坂があるといいますね。上り坂、下り坂。そしてもうひとつ「まさか」。そのまさかに今日突然出会ってしまったわけです。ご贔屓のタカラジェンヌ・彩海せらさんの組替えが発表されました。

 

驚くべきことにこの組替え発表以外にも「まさか」が沢山積み重なっているご贔屓が、私にとってのあみちゃん(彩海さんの愛称)です。

まず、初めて好きになったのは昨年の春に上演された『シルクロード』でした。大人気のトップコンビ・だいきほ(望海風斗さんと真彩希帆さん)の退団公演で、どうにかチケットが押さえられたのは最終週のB席1回のみ。貴重な機会を存分に味わうために、友人から事前に観るべきポイントを教えてもらって臨みました。にも関わらず、視界に入ってきた豆粒サイズの男役さんの踊ってる姿があまりにもかっこよくて、本来の見るべきポイントも忘れ、慌てたまま「誰!?!?」とオペラグラスを上げました。そんなことを3つもの場面で繰り返したのですが、3回とも視界に捉えたのがなんと彩海せらくん。そう、あみちゃんです。3回も同じ人だったとなれば、さすがにソワソワし始めます。これが1つ目の「まさか」。

 

次にあみちゃんが出演したのは、新トップコンビさききわ(彩風咲奈さんと朝月希和さん)のプレお披露目公演『ヴェネチアの紋章』と『ル・ポァゾン -Again-』の全国ツアーでした。

直前に仕事が急遽お休みになったので、大学以来の仲良しで咲ちゃんファンの友人と一緒に、初日から観にいくことになりました。プレお披露目初日なんて初めてだし、しかも友人が応援してきたのをずっと隣で見てきた、大切な大切な咲ちゃんの門出です。ドキドキで私まで吐きそうになりながら観たお芝居とショーは本当に面白くて、楽しくて、嬉しくて。一生の思い出になりました。

そんな超お祝いムードでもやはり出てくるのは「まさか」。一番下手端の席に座っていた私に対して、ショーでのあみちゃんの立ち位置も一列目の下手端が多かったのです。『ル・ポァゾン』には「BAD POWER」という、ジゴロに扮した男役だけで踊る、脳内のドーパミンがありえないほど出るような場面がありますが、このときもあみちゃんは下手端で、投げキッスまで披露して帰って行きました。正直なところ『シルクロード』のときはまだ良かったのです。だって、終演後すぐに有楽町のネカフェに駆け込み、初恋のご贔屓・北翔海莉さんのフランツを配信で観たものですから、あみちゃんのことも「そういえばすごいカッコよかったよ!」ぐらい軽傷で済んだのです。けれども今度はそうもいかず、しかも大好きなみちこさん(北翔さんの愛称)となんとなく踊るときのシルエットが似ていることに勘づき始めます。これが2つ目の「まさか」。

 

そのまま神奈川で始まった全国ツアーは、愛媛、愛知と3都市を回りました。もともと予定していた愛媛での4公演を観て、やっぱり私はさききわちゃんというトップコンビも、今回の2作品自体も、そしてあみちゃんも好きだという確信が生まれ始めた6月半ば。とうとう愛知にも日帰りマチソワで行くことになります。この時点ではあみちゃんが出てくると気になってほぼオペラが持っていかれる具合です。

 

そして、次に迎えたのはさききわちゃんの大劇場お披露目公演『CITY HUNTER』と『Fire Fever!』。これも初日から、咲ちゃんファンの相棒と観に行きました。直前にシティーハンターの原作漫画32巻を読破し、この名作をとんでもなく大好きになってしまった私。プレお披露目とはまた違い、宝塚大劇場の真ん中にいる咲ちゃんと希和ちゃんに号泣し、獠ちゃんと香ちゃんが生きていることに号泣し、幸せで言葉にならないとはこのことか……と思うような気持ちで幕間休憩を迎えます。しかし、やってくるのはやはり「まさか」です。ショーもエンディングを迎えた大階段での男役群舞。2番手のあーさちゃん(朝美絢さん)を筆頭に、上から降りてきた中で私の視線の真正面に来たのがあみちゃんでした。そのまま大階段での振りの最中もずっと目が合っていて、小刻みな体の震えが止まらないほどに訳が分からないままその場面が終わりました。でも長かった。本当に危険を感じたときは、短いんじゃなくて半永久的なんじゃないかと思うほど長いんだと初めて知りました。ここが3つ目の「まさか」。

あれよあれよというままに坂を転げ落ち、初めて四つ切りのスチールを買ったのも、初めて新公学年の男役さんを応援するのも、もう2度と出会うはずのなかった特別好きな人がいる新人公演を観ることになったのも、今までの人生で一番通うことになったシティーハンターで毎日のようにオペラで追い続けたのもあみちゃんになりました。こうなればもう立派なご贔屓です。これからもずっと、大好きなさききわちゃんのいる雪組で、もっともっと大きな存在になっていくところを観られるものだと信じきっていました。

 

4つ目の「まさか」である組替え。今日はこのニュースをたまたま知ってしまってから、いろんなことが頭をよぎりました。もう雪組のあみちゃんを観られないことが寂しい。さききわちゃんのいる大劇場に、あみちゃんが立つことはこれから一度もないんだと思うと本当に寂しい。悲しい。縣千くんとあみちゃんの大好きな並びが、あと2週間足らずで終わりなんだと思うと寂しい。少なくともあと2年ぐらいは観られると思ってた。「New Fire」のあがあみシンメで、縣くんのミスをあみちゃんがすかさずカバーして2人で笑いあってるのを見たとき、希望の光のようにとてつもなく眩しかった。悲しい。今だってめちゃくちゃ泣きたいので、実は仕事終わりに頼りにしている芸事の神社へお参りにも行きましたし、これから例の相棒にも泣き言を言いに会いに行くんです!やだやだ他のところなんて行かないでよ〜〜!と本気で思います。

 

でもうじうじなんてしてられないくらい、楽しみなことだってあります。なんたって、私が好きな人はみんな月組要素が強い!!!!!だからあみちゃんも月組に行ったら、絶対に、絶対に、絶対にもっと好きになるに決まってるんです。しかも次の大劇場公演は『グレート・ギャツビー』。男役さんのお衣装のなかで一番大好きなスリーピースのスーツ祭りがおそらく待っています。着こなせるどころか、その一張羅で生まれてきたの?と言いたくなるほどにスリーピースが似合うあみちゃんですから、そんなの願ってもみなかった好機です。万が一にでも新公主演にでもなって、そのまま「朝日が昇る前に」を歌われたらたまりません。たぶん今度こそ坂じゃなくて底に辿り着きます。本当にみちこさんによって作られた私の好きなものビンゴが全部リーチみたいになっちゃう。どうしよう。月組だろうと幸せじゃんか!そう、好きな人がいればきっとどこでだって幸せです。

 

だから、これからもあみちゃんを追いかけて「まさか」を転がり落ちていくのを楽しみたいと思います。あみちゃん大好きだー!まずは無事に、雪組最後の公演が見届けられることを切に願います。

 

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(去年の初観劇記念日に、目の前の銀橋があみちゃんだったときのお写真)