私が生きてこなかった人生

ためらわず踏み出してゆくわ

新しい年に新しい夢ーー明治座『New Year's Dream』

ブログを読んでくださっているみなさま、明けましておめでとうございます。おめでたいはずの年明け早々から、公演が中止になってしまうかもしれないと毎日をひやひやしながらお過ごしの方が多かったかと思います。私もその1人でしたが、なんとか無事に予定通りの観劇初めが叶いました。明治座の『New Year's Dream』です!

 

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一昨年の『Summer Night's Dream』に続く玉野先生演出、明治座主催の今作。前回はみちふうが姉妹のような「Let It Go」のデュエットを披露し、私の中で元トップコンビの枠が華麗に壊される革新的な瞬間が訪れました。

  

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そして今回もそれに匹敵するようなサプライズが。何とあの名作!月組『THE MERRY WIDOW』の一場面が観られました〜〜〜!みちこさんファンとしてはこの大ニュースに尽きますが、公演全編を通しても本当に楽しかったです。

 

メリー・ウィドウは私が実質2つ目に観た宝塚の公演で、大好きなみちこさん(北翔海莉さん)の主演作、相手役もこれまた大好きなゆうみたん(咲妃みゆさん)という思い入れのある作品。当時観たのは録画だったので圧倒的にお芝居と歌のお上手な、しかも声の相性までぴったりなお二人のオペレッタが生で観られたらどんなに良いか…そうずっと思っていました。DVDすら出ていない、貴重で、伝説のようでもあったメリー・ウィドウ。その表題曲「MERRY WIDOW WALTZ」がこうして7年振りに蘇るなんて、歴史に刻まれる一大事ですよ!劇場でそれに立ち会えて心底嬉しかったし、未だに観たのが信じられません…。だって振りまで付いてたんだもん。一曲終わって後ろに捌けるときまで完璧にデュエダンだったんだもん。お互いに柔らかく包み込むような歌声、眼差し、手振り。夢にまで観たみちみゆがまさか2021年にやってくるとは…。また、曲の前説でみちこさんの方を向きながら、ニコニコニコニコお話ししているゆうみたんがほんっとうに可愛くて!話の最後に「うふふ♡」ってなんて言ってるときには目にさえも入れたくなった。ゆうみたんフワッフワで絶対に痛くないと思う。宝塚で組んでいた方を観ると不思議なのが、デュエットをやるとなるとその曲以外のお話しの仕方とかも当時の男役、娘役時代に近づいてしまうんですよね。染み付いたものってすごい。

 

そして、ザ・宝塚!!を完膚なきまでに見せつけたみちみゆも1幕ではコントをやるのが玉野作品。薩摩弁で捲し立てるオカンみちこと、たった今電話で婚約破棄された娘ゆうみの親子が、相手方に殴りにいこうと「YAH YAH YAH」を歌うなんてお腹がよじれるほど笑った。ガチンコナンバーとコントの温度差が痛快なんです!

 

他には、圭吾さんと新納さんが踊っていた「Nowadays/Hot Honey Rag」がとっても良かったなぁ。シカゴでもあの2曲の流れが大好きで!ヴェルマとロキシーのショーを観ているときの気持ち良さがそのまま溢れ出した場面だった。元々は女性同士のナンバーを男性が演ってもフォッシー独特の素敵さは不変!!とりわけお二人は結婚相手を殺してもそれをセクシーな魅力に変換できそうなタイプですし(笑)本当にぴったりでした。

そのまま後ろの幕が開いて、玉野先生以外が出演する「All That Jazz」に移行するのも良かった〜〜!ダンスナンバーになると新納さんが初代トートダンサーだったことを思い出します。腕や背中の動きが人間技じゃなくなる。ゆうみたんも在団中よりさらに踊ったときの体のラインの美しさが増してて感動した。他の出演者の皆さんも前に観たときより明らかに声の音圧が増していたり、音域が広がったりしていて、コロナ禍で舞台が厳しい状況に置かれていた中でもお稽古に励み、さらなるパワーアップを図っていらっしゃったのだろうなぁと感銘を受けたのでした。

 

ということで、コンサートであり、ショーであり、お芝居であり、コントである玉野先生らしい盛りだくさんの本作!「皆さんにも当時のことを思い出してもらえれば」なんて思い出の作品の一曲を入れてくださる客席への優しさ。例えば、昨年出産されたみちこさんに「こんにちは赤ちゃん」を歌う場面を作って、そのまま大野さんの主演ドラマの場面も入れてくださる出演者への優しさ。そういった心遣いに溢れた玉野先生の構成が大好きです。おまけに振り付けも演出もこなして、あんな素晴らしいタップまで観せてくれる!玉野先生は演出家界の実家だと思ってるし、先生の作品はおでんみたいにあったかくてホッとできて、いろんな具材が楽しめる。そういう型にはまらないジャンルだと思っています。ジャンル玉野和紀!!

 

毎日が綱渡りのようなギリギリの状況でしたが、2021年がこんなに楽しい舞台で始められて良かったなぁ。懐かしさと新しい嬉しさとで胸がギュウギュウいっぱいになっています。