私が生きてこなかった人生

ためらわず踏み出してゆくわ

人生の愛おしい煌めきを集めてーーミュージカル『ビューティフル』

帝国劇場公演ビューティフル、千秋楽おめでとうございました!

再演が発表されたときから嬉しくて嬉しくて待ち遠しかったこの作品。私もついに先日、念願の観劇が叶いました。久しぶりの帝劇がビューティフルで本当に嬉しい!!!

 

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相変わらず神の采配のような歌うま豪華キャスティングとキャロルたちが生み出した名曲の数々。この組み合わせが最っ高にハマってる。このキャストがいてのこの曲。この曲があってのこのキャスト。そんな何一つ要素が欠けてしまってもいけないバランスで、強く美しくまとめられてるのです。一曲一曲ヒューヒュー騒いで拍手できないのが辛いぐらい、ミュージカルというものを存分に楽しめた。


かつ、地の底から湧き上がるような"客席に居られる喜び"を感じさせてくれる作品だと、特別に際立って感じられたのが印象的でした。もともと客席が劇中の客席としても機能する演出がすごく好きで、初演のときもラストのBeutifulで感極まってワンワン泣いた思い出。劇場が遠ざかりつつあったこのご時世のこともあって、初演と同じ気持ちにプラスして更に更に喜びが大きかった。客席に座って、ステージと一体になって特別な時間を過ごす。なんて素晴らしいことなんだろうと心から嬉しくなったし、あの瞬間嬉しくなれていることがたまらなく嬉しかった。幸せでしかなくて困っちゃいますね!

 

加えて初演と違って感じたのは、キャロルとジェリーの関係性でしょうか。初演は観ていてこっちまで一緒に潰れてしまうんじゃないかと思うぐらいキャロルの行き場のない辛さやしんどさが自分にまで重くのしかかってきて。特に1幕終わりの突然の裏切りには愕然として、幕間休憩の最中ずっとジェリーに本気でブチ切れていたはずなのに、今回はジェリーの考え方や立場に対して理解できるなと思ってしまった。むしろ2人どちらの考えに近いですか?と言われたら私はジェリーだし、シンシアとバリーでもシンシア。だからジェリーの言う結婚や家庭への違和感、居心地の悪さも知ってるから責められないけれど、キャロルと一緒に苦しくて悔しくてどうしようもなくなり泣くというごちゃごちゃもいいところになってしまって、正直そんな自分にものすごく戸惑った。

2人どっちもの味方になれるから、下手すれば敵にもなれてしまう。これって多分シンシアやバリーやドニーも一緒なんじゃないかなと。ジェリーが圧倒的に悪くても、彼らも生み出すことの辛さや追い立てられる焦りを知ってるから100%責めることは決してできないと思うのですよね。どの立場から見てもキャロルとジェリーの亀裂がいかに重く、辛いことだったのか…。そんなふうに再演はキャラクターたちがより豊かに、より鮮明に観えた気がします。その結果、彼らが人生の端々で得た感情を込めてきた曲たちもますます美しく煌めいて聴こえてしまうという!あ〜なんてとんでもない相乗効果なんだ!!

 

決して一筋縄ではいかない人生。それでも人が生きていく美しさ、力強さ、しなやかさを音楽に乗せてフルパワーで伝えてくれるビューティフルが本当に大好きです。こういった「60点の気分で観ても100点に押し上げてくれて、100点の日に観たら120点にしてくれるようなオールタイムベストの作品」はありがちなように見えて、とても貴重な存在だと思う。これからも再演してくれる限り、大切に大切に観ていきたいです。